地場産業
小野市は、「そろばん」・「家庭用刃物」などの地場産業を中心に発展してきました。特にそろばんは「播州そろばん」として、昭和35年のピーク時に年間約360万丁もの生産量を誇り、昭和51年には、その長い歴史と伝統技術が認められ、国から伝統的工芸品の指定を受けました。
しかし、電卓等計算機器の普及に伴い、需要は徐々に減少し、現在では年間約7万丁程度の生産量にとどまっています。(現在でもシェアは全国生産量の約70%)
また、家庭刃物は、江戸時代に農家の副業として広がった握り鋏の生産に始まり、その後、明治維新による経済、社会情勢の急変で鋏類の技術研究、製品の考案が進み、徐々に業者も増え、刃物生産地としての基盤を確立していきました。
戦後は、農業の機械化と社会情勢の変化に伴い、品質の改良、生産技術の向上に取り組み、複合材の開発、ステンレス鋼材等による品質改善、技術研究で拡張し、設備の近代化によって業界に君臨しました。そして、卓越した技術に裏打ちされ、作り出された製品は、切れ味、デザイン共に好評を得て、全国の消費者に知られるようになりました。
また、現在、日本ブームであるフランスやドイツ等のヨーロッパをメインターゲットとした海外展開を行い、その鋭い切れ味と優れた耐久性、そして、機能美としてのデザインが世界的にも高い評価を受け、「播州刃物/BANSHU HAMONO」のブランドイメージは非常に高まってきています。
このように古くから地場産業を支えてきた「播州そろばん」、「播州刃物」ですが、製造職人の高齢化が進んでおり、次世代にその優れた技術を如何にして伝承していくかが課題となっています。